エゾシカを色んなところで色々と。 |
農林被害や交通障害が多々起こり
駆除が必要になっているのは
北海道民にはご周知なところだと思われますが。
内地の方々でこのブログをご覧の方には
ご存知無い方もいらっしゃると思いますので
詳しくは北海道庁”エゾシカ対策課”のHPを見ていただくとして
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/est/
エゾシカは大都市だと思っている(北海道の人だけかな??)
札幌でもたまに出没したりするくらい増えてきておりまして、
僕は駆除したエゾシカのお肉を有効利用しましょう、
という普及活動のお仕事を色々とさせていただいております。
今年に入ってからも色々なところで講習会をさせていただきました。
ちなみに僕がエゾシカ肉に詳しいのは
料理人としての経験からだけではなく、
幼少の頃より父が趣味で狩猟をしていた為(約40年前の写真ですね・・、誰にでも可愛い時期は・・。)
この頃はまだエゾシカは保護の対象で狩猟期間も短くオスのみ捕獲の時期です、
この大きさのオスだと一頭から60kgくらいのお肉が取れるので
仲間と分けても相当なお肉があたります。
なので冬の間はなんでもエゾシカ肉な家庭に育ちました。
そしてこの頃は食べることよりも獲ることが優先の時代だったので
大切なのは”お肉”よりも”トロフィー”(頭部の剥製にするところ)だったので
現在主流の「ヘッドショット」「ネックショット」ではなく心臓を狙っておりました(父談)
なのでお肉の品質は安定していなかったんです、
柔らかで美味しいものいっぱいありましたが、
野性味溢れるものも多々あたりました・・。
そのころからエゾシカ肉を貰っていた方々に
”臭い・硬い・高い”のイメージがあるのはその為だと思われます。
そのイメージを払拭して”安全・安心・美味しい”エゾシカ肉を普及していくために
各地で講習会の講師をさせていただいております。
どこに行ってきたかというと、
まずは洞爺湖の温泉ホテルや飲食店関係の方々に
下処理の方法とバリエーションを増やせる仕込の仕方を講習
家畜肉と”野生鳥獣類”であるエゾシカの決定的な違いや
トリミングの仕方で味わいが変わることなどお伝えいたしました。
それから
登別で飲食店関係の方々への講習会
ここでも部位別の使い方・トリミングによる味わいの違い
単価のお得なスネやスジ肉を美味しくお料理する方法等々
同じ仕込からのバリエーションの展開
中味はお楽しみで。
みなさん興味深々で聞き入っていただきました。
そして
農水省さん主催のエゾシカ肉活用セミナー でも実演してきました、
こちらは一般向けなのでエゾシカ肉を初めて召し上がる参加者もいらっしゃいました。
現在のエゾシカの状況のセミナーから
占冠村(しむかっぷ)のエゾシカに対する活動も
そして僕は持ち時間を一時間もらい
この3品を差し替え無しで作りました、
ご家庭でも簡単に出来るレシピですよ!
それからその足で
AAOエゾシカ料理推進協議会
AAOマイスターの認定式に向かい認定していただきました。
AAOとはA(安全) A(安心) O(美味しい)
北海道エゾシカ衛生処理マニュアルを尊守したエゾシカ肉を使用し
エゾシカ肉の普及促進に努めている方に贈られる認定制度なんです。
でも、まだ推奨肉と言われるエゾシカ肉になるのは駆除数の一割程度なので、
僕の仕事は普及することはもちろんのこと、
推奨肉になるエゾシカ肉をもっともっと増やしてエゾシカを無駄死にさせないこと。
人間の都合で”害獣”になっている側面もありますので。
エゾシカ肉の美味しさを伝えて必要な分だけ獲っていけるようになればいいですね、
その為にはまず適正頭数と言われる頭数に近づけていかないとです。
そしてここまでエゾシカのお話をしていると
どこで買えるの?と、いう質問をよくされます。
身近にハンターさんがいなければ中々簡単には手に入らないですよね??
ですが、札幌では”コープさっぽろ”さんの大型店で買うことができます。
その組合員さん向けに講習会もしてきました。
みなさん販売するために色々なお料理に挑戦したきたようですが、
まだ抵抗感のある方もいらっしゃったりで
カットされてパック詰めされた販売されているお肉を使い
お料理のコツを講習させていただきました。
・エゾシカのオイルマリネ焼
・エゾシカミートソースパスタ
・エゾシカのハーブカツレツ
・エゾシカのあっさり和風煮込み
ご家庭でも簡単に出来るメニューです。
興味のある方はコープさっぽろへ。
そして最後に狩猟現場へ
かつて一緒に働いていた同僚が
占冠村でひつじ牧場を始めたので行ってまいりました。
まだ始めたばかりなので羊さん達はやっと一回目の出産を終えて子育て中
看板の通り”ひつじ”と”エゾシカ”の2本柱
害獣駆除の免許を持っているので猟期に関係なく狩猟ができるハンターでもあります。
小雨模様だったのですが、裏山に同行するとすぐに獲物は見つかりました。
至近距離、 一発で仕留めました。
すぐに喉元の血管を切って一時放血
すぐに解体所に運びます。
皮をはぎ、内臓を抜き、枝肉へ
撃ってからここまでで一時間
2歳のメスでした。
ここまで見ていて可哀想だと思った方もいると思いますが、
人間は植物であれ動物であれ生命体から命を頂かないと生きてはいけません、
奪った命をきちんと活かす事が大切なんだと僕は思っております。
エゾシカも撃たれるだけで捨てられているものを多数おります。
命を頂く以上きちんと活用しないといけないと思います。
みなさんがエゾシカ肉を食べたいと思っていただけるとお肉の需要があがります、
そうするとエゾシカを取り巻く環境も変わってきます。
エゾシカ猟で生計を立てられるようになれば撃ち方も処理の仕方も変わっていくと
僕は思っております。
なので、まずはエゾシカ肉の美味しさを伝えていくのが僕の仕事だと。
これからも美味しいエゾシカ料理を作っていきますので、
よろしくお願いいたします。